2万905人の女性が乳がんを発症したが、魚油由来のオメガ3系多価不飽和脂肪酸をもっとも多く摂取した群は、もっとも少なく摂取した群に比べ、乳がんリスクが14%低下した。
もっとも乳がんリスクが低下したのはアジア女性であり、これはふだんの魚の摂取量が欧米諸国に比べて多いためだろうとしている。
統計的にみると、オメガ3系脂肪酸を1日0.1g多く摂取するごとに、乳がんリスクが5%下がるという。脂肪の多いサケやマグロ、イワシなどの魚を1週間に1~2食分食べると、この量を満たすことができる。
魚の油にはエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などが多く含まれ、血液中の中性脂肪値を下げたり、血栓ができるのを防ぐ働きがある。
オメガ3系脂肪酸は、がん細胞の増殖を引き起こすホルモンである女性ホルモン(エストロゲン)の生産量を減らす効果があることも知られている。
日本人を対象とした調査でも、魚を食べる頻度の高い人では、まったく食べない人に比べ、心筋梗塞などの発症率が大きく低下することが確かめられている。
研究者によると、魚の油は不足しがちな人が多いので、意識して摂取量を増やすことがポイントだという。サンマやイワシなどは、缶詰を利用すれば手軽にとることができる。
食品に含まれる脂肪には、リノール酸やα-リノレン酸など植物性のものもあり、このうちナッツや植物油などに多く含まれているα-リノレン酸もオメガ3系多価不飽和脂肪酸の一種だ。研究では、α-リノレン酸には乳がんの保護効果は認められなかったという。
「魚や植物油を含め、どの脂肪酸をどれだけ摂取すれば、生活習慣病の予防に効果的であるかを、今後の研究で確かめる必要があります」と、研究者は述べている。
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